こちらのページでは、古代のネコ科猛獣の復元や肖像画のアーティスト「Jagroar」氏のイラストを掲載させていただいております。
※画像をクリックすると、大きな画像が表示されます。
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【説明】今回は、およそ100万年前の北米南東部、現在のフロリダに当る地域に分布していた主要ファウナを描いています。
この時代の北米では、体型も大きさも似通っていながら、系統の異なる2種の「サーベルタイガー」が、熾烈な生存競争を繰り広げていました。
手前から:
ダイアウルフ(フロリダ産) Canis dirus
クッキーカッターキャット Xenosmilus hodsonae
フラットヘッド・ペッカリー Platygonus compressus
キタアメリカ・サーベルタイガー(フロリダ産) Smilodon fatalis
テラトーン Teratornis sp.
アメリカチーター(フロリダ産) Miracinonyx trumani
Xenosmilus(ゼノスミルス)は、スミロドン属種やバルボウロフェリス属種とよく似たがっしり体型ながら、上顎犬歯長が控えめで頭部は「シミターネコ」そのものという、変わり種です。上下の切歯から犬歯にかけて途切れのない歯型をしていることから、「クッキーカッターキャット」というユニークな俗称が提案されていますが、全身骨格が2体しか出ていないこともあり、あまり認知されていない存在です。
ねこの博物館では、このゼノスミルスの精緻な頭骨レプリカを展示しておりますので、おなじみのサーベルタイガー(スミロドン)などの標本とともに、ぜひ注目していただけたらと思います。なお、遠方に見えるチーターのような動物は本物のチーターではなく、ミラキノニクス属に分類されている種類です。スミロドンとゼノスミルス同様、チーターとミラキノニクスも、系統を異にしながら形態・機能は似通っているという、収斂進化の好例をなしています。
【説明】今から800万年以上も前、後期・中新世の北米南東部を特徴づける大型動物相です。中新世は多種多様な大型肉食獣が群雄割拠していた時代でもあり、史上最も大物猟に特化した剣歯猫の形態は、この苛烈な生存競争の中で磨かれてきたとも考えられます(剣歯猛獣自体は、もっと以前にニムラヴス科において登場している) 。その形態進化上の極めつけとも言うべきはバルボウロフェリス属の猛獣で、後代のスミロドン(サーベルタイガー)に比肩する長大な犬歯を誇っていたとされます。イラストでは、剣歯猫誕生を探る上でカギの一つとなる肉食獣の激しい競合、すなわちバルボウロフェリスら中新世北米の主要な大型肉食獣が、獲物をめぐって睨みあう場面を描いています。
手前から:
テレオセラス属種 Teleoceras fossiger
中型で原始的なサイの仲間。角を欠く。
バルボウロフェリス属種 【バーバーズ・サーベルタイガー】 Barbourofelis loveorum
ネコ科に最も近縁なバルボウロフェリス科(伝統的には、ニムラヴス科の亜科ともされる)を代表する、「剣歯猫」。
ニムラヴィデス属種 Nimravides catacopis
最も初期の真正のサーべルネコの一種。ヨーロッパのマカイロドゥス属種としばしば同定される。
後の剣歯猫群と比較して、背骨や尾が長い。
アンフィキオン属種 【ジャイアントベアードッグ】 Amphicyon sp.
クマ科に近いアンフィキオン科の動物は、多くの種がクマとイヌの合いの子のような(?)形態をしていたことから、ベアードッグと呼ばれる。
エピキオン属種 【ボーンクラッカードッグ】 Epicyon haydeni
史上最大のイヌ科(ボロファグス亜科)動物。肥大化した小臼歯は、骨を噛み砕くことに適応していた。
シンセトセラス属種 【スリングショット】 Synthetoceras tricornatus
鼻先にアルファベットの「Y」の形をした長い角が生えた、ユニークな草食獣。
エピキャメルス属種 Aepicamelus major
大型だが細身で、コブのない古代のラクダ。
アメベロドン属種【シャベルタスクゾウ】 Amebelodon sp.
原始的なゾウの仲間。上顎と下顎の牙がともに大きく前方に突き出し、下顎はシャベルのような形をなしていた。
【説明】更新世後期の北米西部に生息していた大型動物の、復元イラストです。
カリフォルニアのラ・ブレアは、散在するタールピットに陥った多様な古代動物の骨格が発掘されたことで、一躍有名になりました。
サーベルタイガー(Smilodon fatalis )とダイアウルフ(Canis dirus )の骨格の豊富さにおいて他所を圧倒しており、当館でも、同地で発掘されたサーベルタイガーの骨格標本を見ることができます。
イラストでは、「タール沼」に前足をとられて動けなくなった仲間を守らんとする、コロンビアマンモス(Mammuthus columbi )と、周りに群がりつつある大型肉食獣(Panthera atrox, Canis dirus)の姿を描いています。
手前に見える猛獣Panthera atrox は、古代ジャガーに近縁ともされる巨大なネコ科動物で、アメリカライオンと一般に呼びならわされています。
【説明】更新世(260万~1万年前)のルジャニアン期に、現在のアルゼンチンにあたる地域に生息していた、主要大型動物相の復元想像図です。
おなじみのサーベルタイガーをはじめとした多くの肉食獣、ゾウの仲間や他大陸では見られない固有の草食動物群など、更新世の南米はアフリカを彷彿させるメガファウナの一大宝庫でした。
左から
アルクトテリウム属種(Arctotherium sp.)、ステゴマストドン属種(Stegomastodon sp.)、中型地上性ナマケモノ(middle sized ground sloth)、サーベルタイガー(Smilodon populator)、マクラウケニア属種(Macrauchenia sp.)
【説明】2008年に、ブリテン島とヨーロッパ本土の狭間にある北海の海底から、船の魚網にかかって大きなネコ科動物の上腕骨が引き上げられました。 後期・鮮新世~前期・更新世のホモテリウム属種、Homotherium crenatidens に帰属された本種は、ウマと同程度の大きさとも表現され、その年代は骨内の石灰化の具合から、前期・更新世(260万~85万年前)に属することが確認されました。 ホモテリウムは剣歯猫の一種(シミターネコ)で、長大な上顎犬歯と発達した下顎フランジを有し、頭骨が細長く、眼窩が小さかったので、ネコ科離れした容貌をしていたことと思われます。
【説明】 トラは東アジアに起源を持つと考えられますが、今から百万年以上も前のスンダ諸島には、すでに古代虎が生息していたとされます(トリニールトラ)。年代が下り、およそ20万年前にジャワにいたトラは非常に大型であったと言われていますが、後のジャワトラの祖先であるのか否か、はっきりしません(形態的には類似しているとされる)。
当時のジャワにはトラの他にも、ドールやヒョウなど多くの肉食獣が生息し、しのぎを削っていました。イラストでは獲物を守る Ngandong tiger と、その後ろにはシミターネコのホモテリウム属種(Homotherium ultimum)の姿が見えています。
【説明】2011年に、上海科技館の古生物学者らによって、トラに最も近縁という新たなヒョウ属種の頭骨が発表され、話題になりました。発見された頭骨の年代は約250万年前で、大型ネコ科動物の完全な頭骨としては、これまでで最古のものになります。
Panthera zdanskyi という学名が与えられた本種は、ジャガーほどの体格であり、きわめて現生トラと類似性が強い頭骨形態と、大きくて鋭い上顎犬歯が特徴と言えます。トラや他の大型ネコ科動物は、早期に優れた形態を獲得し、その形を維持していることがうかがわれます。
野生ネコの世界 華麗なるハンター!世界の生息する野生ネコ28種の生息別標本展示。
絶滅ネコ類 ネコ類の進化を語るうえで欠かせないサーベルタイガーなど絶滅種の展示。
世界のねこちゃん 人気のねこが約20種40匹!ふれあい部屋もあります。
ねこの美術館 木彫りや陶器ぬいぐるみなど、ねこをテーマにした世界の美術品やおもちゃなどの展示。
「ねこの博物館」は、ねこと触れ合いながら楽しく科学するところです。ねこの奥深い世界をのぞくと、意外な一面を発見するかも。